『幻夜』

幻夜

幻夜

阪神淡路大震災を境にそれまでの人生をすべて捨て去った男女。
時は流れ、舞台を東京に移し物語は本当の幕をあける。
東京各地で起こる奇妙な事件の数々、そしてそれらの事件の影には一人の女の存在があった。



狡知を絞って人のすべてを奪い取り破滅させる魔性の女。
甘言で人を狂わせ自由に操るその様は、読んでいて不気味でありながらも怪しい魅力を持って脳裏で踊る。
彼女を追う刑事が徐々に彼女に近づいていく事で確実に緊張感は高まっていく。
だからこそラストシーンは結構ショックだった。
そっちか!! と。
この物語の主人公を誰に据えて読み進めるかで読後の余韻はまるで違ったものになる。
たまには悪女に浸るのも悪くはないかもしれない。


ラストの解釈は色々あると思うが、アレも仕込だと思った方が尚更面白いのではないか。
運も実力のうちとは言うけれど、運に頼るよう女じゃなさそうだし。